【緊急避難措置】ミャンマー人の特定活動ビザについて|要件と就労可否を解説
【更新2025.7.22】わかりやすくするため加筆しました。
ミャンマーにおける情勢不安を理由に、本国に帰国することができないミャンマー人に対して入管庁は緊急避難措置として、日本への在留を認めています。
当該制度について詳しく解説をしていきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
ミャンマー人への緊急避難措置とは
2021年2月の軍事クーデターから4年以上が経過したミャンマーは、現在も軍事政権と民主派勢力や少数民族武装組織との間で激しい内戦が続き、政治・経済・人道の各側面で深刻な危機に直面しています。解決の糸口は見えず、国民の困窮は深まる一方です。
国軍は2025年1月に7回目となる非常事態宣言を延長し、統治の継続を強行していますが、その支配力は揺らいでいます。内戦の戦況は国軍にとって厳しく、民主派勢力の国民統一政府(NUG)やその軍事部門である国民防衛隊(PDF)、そして各地の少数民族武装組織の攻勢により、支配地域を失い続けています。一部報道では、国軍の支配地域は国土の25%未満にまで縮小したと伝えられています。
特に2023年10月末からシャン州北部で始まった「1027作戦」以降、民主派と少数民族の連携攻撃が激化し、国軍は多くの拠点を失うなど、クーデター後最大の敗北を喫しました。
劣勢を挽回するため、国軍は空爆への依存を強めており、学校や病院、宗教施設といった民間施設も標的となり、子どもを含む民間人の犠牲者が後を絶ちません。また、兵力不足を補うため2025年2月に徴兵制を開始したことで、多くの若者が国外へ避難する事態となっています。
以上を踏まえ入管庁は、ミャンマー人に対しての緊急避難措置として、日本への在留を希望する方に対して特定活動ビザへの変更を認めています。
対象者と措置内容(就労可否)について
対象者について
対象者は、情勢不安を理由に日本への在留を希望する以下の方です。
- ・ミャンマー国籍を有する方
・ミャンマーに常居所を有する外国籍の方
なお、現在の在留資格に基づく活動を継続している方はそのまま在留することが可能です。(本措置の特定活動ビザに今すぐ変更する必要はありません)
措置内容(就労可否)について
現在の在留資格に基づく活動が満了した方は、
- 原則、特定活動ビザ(1年)への変更が可能
1.現在の在留資格の活動を満了した方
- 在留期間1年:就労可
例えば、雇用契約期間が満了した、技能実習を修了した、学校を卒業した等
2.自己の責めに帰すべき事情によらず、現在の在留資格の活動を満了できない方
- 在留期間1年:就労可
技能実習の継続が困難となり、監理団体が実習先変更に係る措置を講じたにも関らず、新たな実習先を確保できなかった等
3.自己の責めに帰すべき事情により、現在の在留資格の活動を満了できない方
- 在留期間6ヵ月:週28時間以内の就労可
技能実習を修了していない、雇用契約期間内にも関らず自己都合で退職した、学校を退学した等
- 許可後、おおむね1年間刑罰法令違反や入管法令違反を犯すことなく、適正な在留を行っていると認められるなど、個々の事案に応じて在留状況等をふまえて、「在留期間1年:就労可」を許可。
必要書類について
申請に必要な書類は次のとおりです。
- ・在留資格変更許可申請書
・パスポートの写しなど、対象者であることがわかる資料
・理由書
・説明書
上記の書類は、入管庁のウェブサイトからダウンロードが可能です。
当該措置についてのQ&A
Q.自己の責めに帰すべき事情とは具体的にどのようなものか
A.ミャンマーからの送金による経費支弁を受けて留学生として在留していた方が、ミャンマーからの送金が途切れて除籍、退学を余儀なくされた場合や、適正に技能実習が実施されているにも関わらず、自らの意思で実習先を離脱するなど。
Q.自己の責めに帰すべき事情の判断は、過去の在留状況も関係するのか
A.主に現在の在留状況により判断することとなるが、留学生や技能実習生等として在留していた方については、過去の在留資格に係る活動状況やその他の個々の事情も考慮して総合的に判断することになります。
Q.自己のせめに帰すべき事情により、現に有する在留活動を満了せず在留を希望する者に対し、「週28時間以内の就労可」としたのはなぜか
A.受入れ機関の責めによることなく故意に中断した方が、活動制限のない許可を受けることについては在留管理上の問題があり、一定の条件を付すこととしたものです。
Q.難民認定申請中のミャンマー人の方も、今回の緊急避難措置の対象となるのか
A.対象となります。
Q.不法滞在中のミャンマー人は、今回の緊急避難措置の対象となるのか
A.不法滞在中であっても、在留特別許可が相当な方については今回の緊急避難措置と同様の対応となります。ただし、許否判断は、個別の事案ごとに、在留を希望する理由、家族関係、素行、当該外国人の本国情勢等、諸般の事情を総合的に勘案して行います。よって、一律に、在留特別許可となるわけではありません。
※ 入管庁「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置について」より引用
まとめ
当該措置は、ミャンマーにおける情勢が改善されないと認められる場合には、在留期間の更新を経て許可を受けて在留を継続することが可能です。
ミャンマー人の方にはこの措置を広く知ってもらい、少しでも不安の解消に繋がればと願っております。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート