短期滞在ビザから就労ビザへの切り替えは可能なのか?
【更新2025.04.28】最新情報を追記しました
外国人の方々が「日本で働きたい!」と思った場合、日本の大学や専門学校等に留学して卒業後に就職をする、本国のエージェントを介して日本で就職をすること等が一般的ですが、インターネットで世界中の求人を探すことが出来る現代において、近年では「短期滞在」で訪日して直接日本の企業を訪ねて内定を得るケースも増えています。
その場合、日本に残ってそのまま就労ビザへ切り替えをしたいと考える方もいるでしょう。果たして、短期滞在から直接就労ビザへ切り替えることが可能なのか?という疑問について解説をしていきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
【原則】短期滞在から就労ビザへ切り替えはできません
結論から申し上げると、短期滞在ビザから就労ビザへの切り替えはできません。
なぜかというと、短期滞在で日本に来日した外国人は本国に帰ることが前提となっているためです。
在留資格「短期滞在」とは、
本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
90日以内の短期間、「観光」、「親族・知人訪問」、「商用」等の滞在が目的となり在留期間満了日までに帰国をします。
※国・地域によって最大日数は異なります。
なお、現在71の国と地域の方はパスポートがあれば特段手続きを経ることなく「短期滞在」で日本に来ることができます。(2024年11月現在)
その他の国・地域の方はあらかじめ最寄りの日本大使館若しくは総領事館で「短期滞在ビザ」の発給申請を行い、許可が下り次第日本に来ることになります。
短期滞在で日本にいる期間は就労できません
冒頭の“「短期滞在」で訪日し内定を得た”というケースであってもそのまま就労することはできません。アルバイトとして働くことも当然できません。
短期滞在では就労することが認められておりませんので、在留資格認定証明書交付申請を行って許可が下り次第、再び日本に来ることになります。
【例外】就労ビザへ切り替えができる場合とは?
短期滞在中に在留資格認定証明書(COE)が交付された場合、その証明書を添付した上で在留資格変更許可申請を行うことで、日本にいたまま就労ビザへの切り替えが可能であった時期もありました。
しかし現在、この運用方法は取られていないとのことです。本来のルール通りでの運用となっております。ただし、特別な事情がある場合に限り、就労ビザへの切り替えが認められるケースもあるようですので、いちど出入国在留管理局に相談をしてください。
ワーホリビザから就労ビザへの切り替えは可能です
ワーキングホリデービザで日本に滞在中に認定証明書が交付された場合には、そのまま就労ビザへの切り替えは可能です。ワーキングホリデーで来日した場合、いちど帰国をすることがルールとなっておりますが、日本に残ったまま就労ビザへ切り替えを行う変更許可申請が可能となっています。
※ 東京入管では切り替えが可能でした。その他の入管でも同じ運用がされているかは、いちど確認を行った方がよいでしょう。
【2024.12~運用変更】ワーホリビザの更新、再取得が可能となりました!
就労ビザの要件について
ここでは、代表的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」について説明しています。
該当する業務の内容
技術人文知識国際業務ビザで従事できる業務については以下のように定められています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
それでは分かりやすく解説していきます。
「技術」に該当する業務とは
システムエンジニア、プログラマー、技術開発、精密機器の設計など
大学等で理系科目を専攻、または長年の実務経験の過程で修得した専門技術的な知識等を有していなければ行うことのできない業務です。
「人文知識」に該当する業務とは
事務、経理、会計、人事労務、コンサルティングなど
主に文系の学術上の素養を背景とする専門的知識を必要とする業務です。
「国際業務」に該当する業務とは
翻訳、通訳、語学講師、海外取引、広報、宣伝、デザイン編集、商品開発など
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性に基づく専門的な能力を必要とする業務です。
技術・人文知識・国際業務ビザの要件
以下、それぞれについて申請人が次のいずれにも該当していることと定められています。
申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を有する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
学歴について
・当該技術若しくは知識に関する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
・当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
①大学を卒業し学位を取得していること(短期大学でも可)
②日本の専門学校を卒業し専門士を授与されていること
③大学と同等以上の教育を受けたこと
※ 日本語学校の卒業は学歴要件を満たしません
大学 | 短期大学 | 専門学校 | 日本語学校 | |
---|---|---|---|---|
日本 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
海外 | 〇 | 〇 | △※ | × |
※ 高等教育である場合、いわゆる大学と同等以上の教育機関を卒業している場合には要件を満たしている可能性がございます
こちらもあわせてチェック!
中国での学歴について
タイでの学歴について
ドイツでの学歴について
実務経験について
・10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
・申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
・翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
・従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない。
学歴がない場合には該当する業務で10年以上の実務経験が必要(学校で当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む)
また、国際業務については3年以上の実務経験が必要
翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝、海外取引、デザイン、商品開発など
ポイント翻訳通訳業務、語学講師については、大学を卒業していれば実務経験は不要
もっと詳しく知りたい方はこちらもチェック!
必要書類について
就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請で必要な書類です。
・顔写真 1葉
・返信用封筒 1通
※ 返信用の切手を貼ったもの
以下、所属機関のカテゴリーによって必要書類が異なります。
・四季報の写し
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書など
・専門学校卒の場合、専門士称号付与証など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・専門学校卒の場合、専門士称号付与証など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・労働条件通知書又は雇用契約書など
・卒業証明書及び成績証明書
・登記事項証明書
・直近年度の決算書
・会社概要のわかるもの
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3カ月分の給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書
・労働条件通知書又は雇用契約書など
・卒業証明書及び成績証明書
・登記事項証明書
・直近年度の決算書
・会社概要のわかるもの
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
もっと詳しく知りたい方はこちらもチェック!
なるべく早く就労ビザを取得する方法とは
直接、変更ができないのなら少しでも早く就労ビザを取得する方法を知りたい!という方もいるでしょう。その場合には、短期滞在で日本にいるうちに在留資格認定証明書交付申請をすることです。
本来、在留資格認定証明書交付申請は海外にいる人を招へいするための申請ですが、申請人本人がまだ日本にいる間に申請をすることが可能です。ですので、「申請を行ってから本国に帰国をし、許可が下り次第ふたたび日本にやってくる」という方法が最も最短の方法かと思います。
こちらもあわせてチェック!
まとめ
観光ビザなどの短期滞在で日本にいる方は必ず在留期限を守って帰国をしましょう。オーバーステイをするとペナルティを受ける可能性があり、ふたたび日本に来るのが難しくなるケースがあります。同様に、短期滞在で就労することはできませんのでルールは必ず守りましょう!
私たちは外国人ビザ申請専門の行政書士法人です。年間350件超のサポート実績。オンライン申請で全国の入国管理局への申請代行が可能です。失敗しないビザ申請ならお任せください。
関連するオススメ記事はこちら
- 再入国許可とみなし再入国許可について
- ビザ申請を行う入管の場所はどこ?管轄と問い合わせ先を解説
- 「ビザ(査証)」と「在留資格」の違いとは?実は意味が全く異なります!
- 外国人雇用状況の届出とは?ハローワークへの手続き完全ガイド
- 外国人のビザ申請専門家「行政書士」とは?依頼するメリットと賢い選び方
- 法定調書合計表とは?就労ビザの更新などで提出が必要な書類です!
- 特定活動47号ビザとは?特定活動46号の家族が対象です
- 外国人の口座が凍結される理由と対処方法について
- ビザ更新の際に必要な納税証明書・課税証明書の取得方法とは?|取得できないときの対処方法も解説
- 【記入例あり】資格外活動許可申請書の書き方を解説

行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート