【3分でわかる!】企業内転勤ビザとは?要件をまとめて解説!
「海外支社のエース社員を日本に呼びたいが、どんな条件が必要なんだろう?」
「企業内転勤ビザの申請要件について、正確な情報が知りたい」
…グローバルに事業を展開する企業の人事・総務担当者様にとって、企業内転勤ビザの「要件」は、国際的な人事戦略を実行する上で避けては通れない重要な確認事項ですよね。
特に「技術・人文知識・国際業務」ビザとは異なる要件もあり、違いやメリットを正しく理解しておく必要があります。さらに、2024年の法改正で「企業内転勤2号」が新設されるなど、制度は常に変化しています。古い情報や不確かな知識のまま進めてしまうと、予期せぬトラブルや申請不許可のリスクも伴います。
当ページでは、企業の担当者様が最も知りたい「企業内転勤ビザの要件」に徹底的にフォーカスし、2025年の最新情報を踏まえて、一つ一つの条件を具体的に、かつ分かりやすく解説します。転勤させる外国人本人が満たすべき要件(海外での勤務期間や日本での業務内容など)から、受け入れる日本企業側に求められる条件(資本関係や事業の安定性)、そして「技術・人文知識・国際業務」ビザとの決定的な違いまで、詳細に掘り下げていきます。
当ページをお読みいただくことで、企業内転勤ビザ申請に必要な全ての要件を正確に把握し、自社の状況や対象社員が条件を満たしているか、自信を持って判断できるようになります。スムーズなビザ取得と、戦略的な外国人材活用を実現するための一助となれば幸いです。
目次
そもそも「企業内転勤ビザ」とは?
具体的な要件を詳しく見ていく前に、まずは「企業内転勤ビザ」という制度の基本的な枠組みを簡単におさらいしておきましょう。
企業内転勤ビザがどのような目的で設けられ、どういった状況で利用されるのかを把握しておくことは、複雑な要件を理解する上で助けになります。
企業内転勤ビザとは、シンプルに言えば、海外にある親会社や子会社、支店などの関連企業で働いている外国人社員を、期間を定めて日本の本社や支店、関連会社に異動させるための就労ビザです。ポイントは、あくまで企業グループ内での人事異動である点、そして日本での勤務が一時的なものである、という点になります。
この制度は、企業のグローバル化が進む中で、国境を越えた人材の異動をスムーズに行えるようにするために設けられました。海外拠点で培われた専門知識やスキルを持つ人材を日本で活用したり、逆に日本の技術やノウハウを海外拠点の人材に習得させたり、といった国際的な人材育成や事業展開を支える役割を担っています。
また、企業内転勤ビザで従事できる仕事の内容は、基本的に「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザで認められる専門的な業務に限られます。その意味では、技人国ビザの取得要件のうち、企業グループ内の転勤という特殊なケースに対応するための、いわば特例的な制度と位置づけることもできるでしょう。ただし、申請要件には重要な違いが存在します。
以上が企業内転勤ビザの基本的な考え方です。海外の関連会社からの人材異動に特化した制度であることがお分かりいただけたでしょうか。次章から、いよいよ本題である具体的な申請要件について詳しく解説していきます。
【企業内転勤ビザの申請重要点①】転勤する外国人本人が満たすべき要件
企業内転勤ビザの申請を成功させるためには、まず、日本へ転勤する予定の外国人社員ご本人が、いくつかの重要な要件を満たしている必要があります。
企業内転勤ビザ特有の条件も含まれており、申請前に必ず確認しなければならないポイントです。人事・総務担当者の皆様は、候補者選定の段階から要件を念頭に置いておくことが重要となります。
海外での「1年以上の継続勤務」経験が最重要
企業内転勤ビザの申請において、最も特徴的で、かつ絶対にクリアしなければならない要件が、日本への転勤直前に、海外にある本店、支店、子会社、関連会社などの転勤元の事業所において、継続して1年以上勤務していた実績です。
単に1年以上在籍していただけでなく、その期間中に従事していた業務内容が、日本で就労可能な「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的な業務である必要があります。例えば、海外拠点で1年以上エンジニアとして勤務していた、経理担当者として勤務していた、といった具体的な実績が求められます。
「継続して1年以上」という条件は厳格に審査されるため、転勤直前に職務内容が変わっていたり、勤務期間がわずかに足りなかったりすると、申請が認められない可能性が高まります。
日本での従事業務内容の適合性
海外での職務経験に加え、転勤後に日本国内の事業所で従事する予定の業務内容も、同様に「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であることが必要です。
つまり、海外で専門的な業務に従事していたとしても、日本での業務が単純作業や現場作業が主となる場合は、企業内転勤ビザの対象とはなりません。転勤前後の業務内容が一貫して専門的なものであることが求められます。
日本人と同等以上の報酬水準
給与水準に関する要件も重要です。転勤先の日本企業において、同じような職務内容に従事する日本人従業員がいる場合、その日本人と同等額以上の報酬を、転勤してくる外国人社員にも支払う必要があります。
外国人であることを理由に不当に低い給与を設定することは、出入国管理の観点からも、労働関連法規の観点からも問題となります。適切な報酬設定がなされているか、申請時に厳しくチェックされます。
転勤期間が定められていること
企業内転勤ビザは、あくまで「期間を定めて」行われる転勤を対象としています。
そのため、雇用契約書や辞令において、日本での勤務期間が明確に定められていることが必要です。契約期間が「定めなし」や「無期限」となっている場合は、制度の趣旨に合わないと判断される可能性があります。
学歴・実務経験は原則不問(「技人国」ビザとの違い)
「技術・人文知識・国際業務」ビザとの大きな違いとして注目すべき点が、学歴や10年以上の実務経験といった要件が原則として問われないことです。
技人国ビザでは通常、大学卒業相当の学歴などが求められます。しかし、企業内転勤ビザでは、海外の関連会社で1年以上、技人国に該当する業務に従事していれば、たとえ高校卒業であっても申請が可能です。学歴に関わらず海外拠点で活躍している優秀な人材を日本に異動させたい企業にとって、大きなメリットとなります。
【企業内転勤ビザの申請重要ポイント②】受入れ企業(日本側)が満たすべき要件
企業内転勤ビザの申請においては、転勤する外国人社員本人の条件だけでなく、受け入れ先となる日本国内の企業(事業所)側にも満たすべき重要な要件があります。いくら優秀な人材であっても、受け入れる側の体制や状況が整っていなければ、ビザの許可は得られません。人事・総務担当者の皆様は、自社が要件を満たしているか、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
転勤元企業との適切な関係性が必要
まず基本となるのは、日本側の受け入れ企業(事業所)と、海外の転勤元企業との間に、企業内転勤として認められる関係性があることです。
具体的には、本店と支店の関係、親会社と子会社(孫会社含む)の関係、同じ親会社を持つ子会社同士の関係、あるいは一定の議決権を有する関連会社といった、明確な資本関係が存在する必要があります。申請時には、登記事項証明書や株主名簿、有価証券報告書などを用いて、資本関係を客観的に証明することが求められます。単なる取引先や業務提携先といった関係性では、企業内転勤ビザの要件を満たしません。
事業の安定性・継続性が求められる
次に重要となるのが、受け入れる日本企業の事業の安定性と継続性です。
転勤してくる外国人社員に対して、安定的かつ継続的に雇用を維持し、適正な報酬を支払い続けることができる経営基盤があるかどうかが審査されます。具体的には、直近の決算状況(黒字経営が望ましいですが、赤字でも事業計画等で合理的な説明ができれば可能性はあります)や、事業内容の具体性、従業員数などが考慮されます。設立間もない企業や、債務超過に陥っている企業などの場合は、事業計画書や損益改善の見通しを示す資料などを提出し、事業の安定性・継続性を丁寧に説明する必要が出てくるでしょう。企業の規模や上場区分などによって提出書類が異なる「カテゴリー分類」も、安定性の判断に関わってきます。
事業所の実在性と活動実態も確認される
転勤先となる日本国内の事業所が、実際に活動を行っている実体のあるものであることも要件の一つです。
単に登記が存在するだけのペーパーカンパニーや、事業活動を行うための適切なスペース(事務所、店舗など)が確保されていない場合は、許可されません。申請時には、事業所の賃貸借契約書の写しや、事務所内外の写真などを提出し、事業の実在性を証明する必要がある場合もあります。
法令遵守の状況も影響
過去に外国人雇用に関する法令違反(例えば、不法就労助長罪など)があったり、労働基準法などの労働関連法規を遵守していない状況が見られたりする場合、企業の信頼性が低いと判断され、審査に不利に働く可能性があります。
特に、過去に外国人従業員を雇用した実績がある企業は、適正な雇用管理が行われてきたかどうかも見られるポイントとなり得ます。日頃からのコンプライアンス遵守が重要です。
【2025年~】新設!「企業内転勤2号」ビザの要件
2024年6月の入管法改正により、従来の企業内転勤ビザ(1号)に加えて、新たに「企業内転勤2号」という在留資格が創設されることになりました。
この新設ビザは、2025年以降、公布から3年以内(2027年6月まで)に施行される予定であり、企業のグローバルな人材育成や技術移転のあり方に影響を与える可能性があります。現時点ではまだ詳細な基準が全て定められていませんが、人事・総務担当者として知っておくべき「企業内転勤2号」の目的と、想定される主な要件について解説します。
新設の目的:「技能等の修得」を目的とした転勤を可能に
企業内転勤2号ビザが新設された大きな目的は、これまで企業内転勤(1号)ビザでは対象外とされてきた、技能や知識を「修得」することを主目的とする転勤を受け入れるためです。
従来の1号ビザは、あくまで専門的な業務(技術・人文知識・国際業務)に「従事」することが前提でした。2号ビザでは、日本国内の事業所において、技能等を修得するための講習を受け、その技能等に関連する業務に従事する活動が認められるようになります。これにより、例えば海外の生産拠点の従業員を日本のマザー工場に呼び、一定期間OJTを受けさせながら実践的なスキルを身につけさせるといった、研修・育成目的での人材異動が制度的に可能になると期待されています。
想定される外国人本人の要件(現時点での見込み)
企業内転勤2号ビザを申請する外国人本人に求められる要件の詳細は、今後の法務省令等で具体的に定められますが、現時点では以下のような点が想定されます。
まず「転勤」である以上、1号と同様に海外の関連会社での一定期間(例えば1年以上)の勤務経験が求められる可能性は高いでしょう。ただし、従事する業務が技能修得中心となるため、1号のような「技術・人文知識・国際業務」に限定された高度な専門業務経験までは要求されないかもしれません。報酬については、生活を維持できる水準、あるいは日本人従業員との均衡を考慮した基準が設けられると考えられます。学歴要件は、1号と同様に原則として問われない見込みです。
想定される受入れ企業(日本側)の要件(現時点での見込み)
受け入れ企業側には、1号と同様の転勤元企業との資本関係に加え、2号特有の要件が加わる見込みです。
具体的には、法務省令で定める基準に適合していることが求められます。この基準には、外国人に対して適切な技能修得の機会(講習の実施など)を提供できる体制があること、生活支援を含む適切な受け入れ環境が整備されていることなどが含まれると予想されます。技能等を確実に修得させるための計画性や企業の体制が、審査のポイントになるでしょう。
今後の情報公開に注意
繰り返しになりますが、企業内転勤2号ビザの具体的な要件や手続きの詳細は、2025年以降、施行に向けて順次明らかになっていく予定です。
現時点ではまだ不確定な部分も多いため、企業としては、法務省や出入国在留管理庁から発表される最新情報を常に確認し、自社のニーズと照らし合わせて活用を検討していく必要があります。
まとめ|要件を正確に理解し、適切なビザ選択と申請準備を
企業の人事・総務担当者様に向けて、企業内転勤ビザを取得するための「要件」に焦点を当て、2025年の最新情報を含めて詳しく解説しました。
海外拠点からの人材異動を成功させるためには、申請要件を正確に理解することが第一歩となります。
重要なポイントを改めて確認しましょう。
企業内転勤ビザ(1号)の主な要件は
- ①転勤元の海外関連会社で1年以上継続して専門業務(技人国相当)に従事した経験があること
- ②日本での業務内容も技人国相当であること
- ③日本人と同等以上の報酬を受けること
- ④転勤期間が定められていること
- ⑤転勤元と転勤先の企業間に適切な資本関係があること
です。
特に、大学卒業等の学歴要件が原則として不要である点は、技人国ビザとの大きな違いであり、人材活用の幅を広げるメリットがあります。
企業内転勤ビザの申請においては、外国人本人と受け入れ企業、双方の要件をクリアする必要があります。特に、海外での勤務経験の証明や資本関係の立証、職務内容の適合性など、慎重な確認と書類準備が求められます。要件を満たさない、あるいは説明が不十分な場合は、申請が不許可となるリスクも伴います。最新の法改正情報のキャッチアップも不可欠となります。
もし、貴社の人事戦略において企業内転勤ビザの活用を検討される中で
「転勤させたい社員の経歴で要件を満たせるか不安」
「資本関係の証明が複雑でよくわからない」
「1号と2号、どちらで申請すべきか迷う」
…といった具体的な疑問やお悩みがございましたら、私たち専門家にお気軽にご相談ください。
私たちは外国人ビザ申請専門の行政書士法人35です。年間350件超のサポート実績。オンライン申請で全国の入国管理局への申請代行が可能です。失敗しないビザ申請ならお任せください。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート