【ビザ更新】長期出国していた場合でも更新は許可されるのか?|実例をもとにビザ専門の行政書士が解説
現在、就労ビザを取得して日本で生活をしている外国人の中には、里帰りや旅行などで一時的に日本から出国をする方がいると思います。仕事で海外出張をするケースもあるでしょう。
しかし、あまりにも長期間出国をしているとビザの更新時に影響があることをご存じでしょうか?
ここでは、就労ビザ(在留資格)の原則的なルールから考えた場合の、長期出国が更新時に与える影響を説明していきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
在留期間中のルールについて
日本に在留している外国人は、各々の在留資格毎に定められた活動をおこなう必要があります。
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例えば、就労ビザのひとつである「技術・人文知識・国際業務」の場合、当然に就労するための在留資格ですので、就労活動をおこなう必要があります。
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「家族滞在」の場合には、本体者の扶養を受けて日常的な活動をおこなう必要があります。(就労不可)
上記のように在留資格毎に定められているルール(行うことができる活動)を在留資格該当性というわけですが、この該当性を逸脱した場合にはどうなってしまうのか?こちらもちゃんとルールが定められております。
入管法第22条の4(在留資格の取消し)
法務大臣は、・・・次のいずれかの事実が判明したときは、・・・当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。
どのような行為が取り消しの対象となるのでしょうか。一例として次のような行為が該当します。
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「技術・人文知識・国際業務」を有している方が就労活動をまったく行っていないとき、「家族滞在」を有している方がフルタイムで就労をしているとき等が該当します。
他には、正当な理由なく3月以上活動を行っていない等も在留資格の取り消し対象となってしまいます。
「長期出国」の定義とは?
さて、ここからが本題です。
在留期間内に長期出国をしていた場合でもビザの更新はされるのか?という点です。ヒントは前項にありました。
在留資格に掲げる活動を継続して3月以上行わないで在留しているときは、在留資格を取り消される場合があるとありましたが、この3月というのがひとつの目安です。
この長期出国後のビザ更新で問題となるケースとして里帰り出産などが該当します。実際にあった、許可事例、不許可事例を参考に見ていきましょう。
実際にあった「許可・不許可事例」
ここでは、弊社が実際に対応をおこなった申請において、許可となった事例、不許可となった事例を紹介していきます。同じケースで同じ結果となるとは限りませんので、あくまでも参考としてご覧ください。
許可事例
母親の看病のため1年6ヵ月出国していた
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期間:3年
申請先:東京出入国在留管理局
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母親の看病のため仕事を辞めて一時帰国。しかし、一向に体調が回復しないため日本に戻ることを断念。しばらくして容態が安定してきたため日本に戻ろうとしたが、新型コロナウイルス禍の影響により出国できず。結局日本に戻ってきたのは、出国後1年6ヵ月後でした。
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この間、事情を考慮してくれた前勤務先よりリモートで対応可能な仕事復帰を打診されたため復職しました。
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更新申請時は、診断書や入院履歴、手術証明書等を提出して出国理由を説明。また、在留資格に基づく活動を継続していたことを証明するために所属機関からの復職証明書や事情説明書を提出、コロナ禍による影響で本国を出国出来なかった理由を説明し、正当な理由があることを主張しました。
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その後、審査官からは出国していた期間の保険や税金等の支払い状況を確認され納付証明書を提出。無事に更新は許可となりました。
里帰り出産のため6ヵ月出国していた
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期間:1年
申請先:名古屋出入国在留管理局
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里帰り出産のため6ヵ月出国。その後の更新申請では、追加資料として「出生証明書」の提出指示があり追完。
無事に許可となりました。
里帰り出産のため4ヵ月出国していた
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期間:1年
申請先:東京出入国在留管理局
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里帰り出産のため4ヵ月出国。本来の予定では、出産後2週間で帰国するはずだったが体調が安定しなく、医師より3ヵ月程安静にするようにと言われたため指示に従いました。
その後の更新申請では、医師の診断書、当初の2週間で帰国する予定であった飛行機チケットを提出して正当な理由であることを説明しました。その後、無事に許可となりました。
不許可事例
里帰り出産のために6ヵ月出国していた
在留資格:技術・人文知識・国際業務
在留期間:1年
申請先:東京出入国在留管理局
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出産のために本国に帰国。在留期間1年のうち半分の6ヵ月もの間、長期出国をおこなっていました。その後、期限が迫ってきたため在留期間更新許可申請を行なうも不許可、特定活動(出国準備30日)となり残念ながら帰国することになりました。
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不許可理由の説明時、審査官からは「出産のために里帰りすること自体は問題ないが、長期間に及ぶ場合、日本での在留活動を一旦終了し、再度、認定証明書交付申請を行なうのが本来のルールです。」と説明がありました。
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例え長期出国をしていた場合でも、正当な理由があると認められれば更新は許可となります。しかし、正当な理由なく在留資格に基づく活動を3月以上行っていないと判断された場合には不許可という結果が待っています。
まとめ
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いかがだったでしょうか。出国している期間が同じでも、許可、不許可の事例が存在します。もっとも、出国の理由が重要であることは間違いありません。仕事を休んで長期間旅行による出国の場合ですと、正当な理由がないと判断される恐れがあるため、次の更新申請時は要注意です。
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今後、何かしらの事情で長期出国の予定があり、次の更新申請が無事に許可されるか不安な方は、事前にビザ申請の専門家に相談することをおすすめいたします。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
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