【ビザ申請書に記入!】雇用保険適用事業所番号とは?調べ方を3ステップで解説
「初めて外国人を採用するが、ビザ申請の書類に『雇用保険適用事業所番号』と書いてある。これは一体何のことだろう?」
「自社の番号がどこに書いてあるのか、すぐに調べる方法が知りたい」
外国人材の採用準備を進める中で、見慣れない言葉に戸惑う経営者様や人事担当者様は少なくありません。特にこの「雇用保険適用事業所番号」は、就労ビザ申請において極めて重要な情報です。
この記事では、雇用保険適用事業所番号とは何か、なぜビザ申請で必要なのか、そして最も重要な「今すぐ自社の番号を確認する具体的な方法」を、専門家の視点から分かりやすく解説します。
まずは結論!雇用保険適用事業所番号は「会社の信頼性を示す背番号」です
結論から申し上げますと、雇用保険適用事業所番号とは、ハローワークから付与される11桁の番号であり、ビザ申請において貴社が「国に認められた、適法で安定した雇用主」であることを証明する“会社の背番号”のようなものです。
出入国在留管理庁(入管)の審査官は、この番号を通じて「この会社は、社会保険にきちんと加入し、外国人を雇用する義務をしっかり果たせるだろうか」という点を確認しています。番号を正しく記載することが、スムーズなビザ取得への第一歩です。
【3ステップで解決】自社の雇用保険適用事業所番号を今すぐ確認する方法
「では、自社の11桁の番号はどこで確認できるのか?」早速、確認方法を3つのステップでご紹介します。まずはお手元に会社の書類をご準備ください。
ステップ1:最優先で確認!「雇用保険適用事業所設置届(事業主控)」を見る
自社の番号を確認するために、最初に探すべき書類は「雇用保険適用事業所設置届(事業主控)」です。これは、会社が初めて雇用保険に加入した際に、ハローワークへ提出した書類の控えです。通常、社会保険関連の重要書類として、厳重に保管されています。この書類の右上にある「適用事業所番号」欄に記載された11桁の数字が、まさに探している番号です。
ステップ2:手元にある他の書類で探す(資格取得確認通知書・年度更新申告書)
設置届が見つからない場合でも、諦める必要はありません。以下の書類でも番号を確認できます。
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用):従業員の入社手続きをした際に、ハローワークから交付される書類です。
- 労働保険 年度更新申告書(控え):年に一度、労働保険料を申告・納付する際に作成する書類です。
ステップ3:書類が一切ない場合、管轄のハローワークに問い合わせる
どうしても手元に該当書類が見当たらない場合の最終手段は、会社の所在地を管轄するハローワークに電話で問い合わせることです。その際、会社の名称、所在地、法人番号などを伝えれば、口頭で番号を教えてもらうことが可能です。管轄のハローワークがどこか分からない場合は、厚生労働省のウェブサイトで検索できます。
なぜビザ申請で重要?入管が雇用保険適用事業所番号を求める3つの理由
なぜ入管は、これほどまでに雇用保険適用事業所番号を重視するのでしょうか。その背景には、審査官が確認したい3つの重要なポイントがあります。
1. 雇用の安定性と継続性を確認するため
雇用保険に加入しているという事実は、企業が従業員を継続的に雇用し、安定した給与を支払う意思と体力があることの客観的な証拠となります。審査官は、外国人が日本で不安定な雇用に陥ることがないよう、受け入れ企業の経営基盤の安定性を厳しく見ています。この番号は、その最初の関門をクリアしていることを示す証明書なのです。
2. 企業のコンプライアンス(法令遵守)意識を判断するため
雇用保険への加入は、従業員を一人でも雇用する事業主の「義務」です。この基本的な義務を果たしているかどうかは、企業のコンプライアンス意識を測る重要な指標となります。社会保険関連の法令すら守れない企業が、複雑な出入国管理法を遵守できるとは到底思われません。番号の提出は、企業の信頼性をアピールする上で不可欠です。
3. 外国人材が日本で安心して生活できる基盤があるかを見るため
雇用保険は、万が一失業した際の失業手当など、労働者の生活を守るセーフティーネットです。入管は、外国人が日本で不測の事態に陥った際にも、こうした公的な保護を受けられる環境にあるかを確認しています。雇用保険への加入は、外国人本人が日本で安心してキャリアを築いていくための最低限の基盤なのです。
【要注意】番号が「ない」場合の対処法|未加入企業がすべきこと
「これから初めて従業員を雇うので、まだ番号がない」というケースもあるでしょう。その場合は、ビザ申請の前に以下の対応が必要です。
1. ビザ申請の「前」に、速やかに加入手続きを行う
ビザ申請より先に、管轄のハローワークで「雇用保険適用事業所設置届」を提出し、加入手続きを完了させてください。この手続きを行うことで、自社に11桁の事業所番号が付与されます。
2. 加入手続きに必要な書類を準備する
加入手続きには、主に「法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」や「労働者名簿」などが必要です。法務局や日々の労務管理で準備する書類ですので、計画的に用意しましょう。手続き自体はそれほど複雑ではありませんが、初めての場合は時間に余裕を持って進めることが肝心です。
3. 専門家(社会保険労務士)に相談する選択肢も
日々の業務が忙しく、手続きに時間を割けない場合や、手続きに不安がある場合は、専門家に依頼するのも有効な選択肢です。社会保険労務士は社会保険手続きのプロフェッショナルです。また、私たちのような行政書士は、ビザ申請手続きのプロフェッショナルです。
雇用保険適用事業所番号に関するよくあるご質問
ここでは、雇用保険適用事業所番号について、経営者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 労働保険番号(14桁)とは違うのですか?
A. はい、違います。ビザ申請に必要なのは、ハローワークから付与される11桁の「雇用保険適用事業所番号」です。労働基準監督署から付与される14桁の「労働保険番号」と混同しやすいので、書類に転記する際はくれぐれもご注意ください。
Q2. 支店や営業所ごとに番号は異なりますか?
A. 原則として、支店や営業所を一つの事業所として雇用保険の加入手続きを行っていれば、本社とは異なる独自の事業所番号が付与されています。外国人を雇用する勤務地(支店など)の事業所番号を記載するのが一般的です。
Q3. 個人事業主でも番号はありますか?
A. はい、法人・個人事業主を問わず、従業員を一人でも雇用して雇用保険に加入すれば、必ず番号が付与されます。個人事業主だから番号がない、ということはありませんので、同様に書類をご確認ください。
まとめ:正しい番号の把握が、信頼の証。スムーズなビザ申請の第一歩
今回は、ビザ申請で必須となる「雇用保険適用事業所番号」について解説しました。
この11桁の番号は、単なる数字の羅列ではありません。貴社が法令を遵守し、従業員を大切にする信頼できる企業であることを示す、重要な証明書なのです。この記事を参考に、自社の番号を正確に把握し、自信を持ってビザ申請の準備を進めていきましょう。
私たちは外国人ビザ申請専門の行政書士法人35です。年間350件超のサポート実績。オンライン申請で全国の入国管理局への申請代行が可能です。失敗しないビザ申請ならお任せください。
関連するオススメ記事はこちら
- 出国命令とは?退去強制との違いと、対象者について徹底解説
- 台湾人を日本で雇用するための学歴要件とは?技人国(ぎじんこく)ビザは取れる?大学・専科学校別の要件と申請の注意点を解説
- バングラデシュ人を日本で雇用するための学歴要件とは?技人国(ぎじんこく)ビザは取れる?3年制大学卒(Pass Course)の要件等を徹底解説
- 日本の就労ビザ19種類とは?対象者・活動内容・要件等を徹底解説
- 所属機関等に関する届出とは?外国人の方は義務です!ケース別で解説しています!
- 特定技能外国人の日本語学習の機会提供について|登録支援機関
- 【採用者必見‼】外国籍人材を雇用する際の4つのポイントを解説|就労ビザ
- ワーキングホリデービザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への変更方法
- 特定活動46号ビザとは?要件や技人国(ぎじんこく)ビザとの違いについて
- 特定技能外国人への「事前ガイダンス」について実施方法とルールを解説|登録支援機関の義務的支援

行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート