「留学」の在留資格を持って日本国内の教育機関で熱心に学んでいる外国人学生を、現に受け入れている大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、そして日本語教育機関などの各種学校法人。
この年に2回行われる定期的報告は、各教育機関が受け入れている留学生の在籍管理を適切に行っているかどうかを入国管理局が確認し、また、留学生自身が日本で真摯に学業に専念し、許可された在留資格の目的に沿った活動を継続しているかといった実態を正確に把握するために、非常に重要な役割を果たしています。
【企業向け実務】「受け入れに関する届出」の具体的な手続き方法と効率化のポイント

「中長期在留者の受け入れに関する届出」を企業が行うべきケースを把握した後は、実際にどのように手続きを進めれば良いのかが気になるところです。
この章では、企業の人事・労務ご担当者の皆様が、この届出業務を正確かつ効率的に進めるための具体的な手順を紹介します。
そして、守るべき提出期限の考え方。
さらには、届出に必要な情報の管理方法や、企業にとってメリットの大きい提出方法について、実務的な観点から詳しく解説します。
日々の多忙な業務の中で、少しでもスムーズに、そして確実に手続きを完了させるためのヒントとしてお役立てください。
提出期限はいつまで?「事由発生日から14日以内」を企業内でどう管理・徹底するかが鍵
この届出において、企業が最も厳格に守らなければならないのは、法律で定められた提出期限です。外国人の方の受け入れを開始した日。
具体的には、雇用契約に基づく就労が実際に始まった日や、研修プログラムが開始された日、留学生が正式に入学した日などがこれにあたります。
あるいは、受け入れを終了した日。
例えば、従業員の方が最終的に会社に在籍した日(退職日や解雇日)、研修が正式に終わった日、留学生が卒業した日や退学が確定した日などです。これらの「事由が発生した日」から日数を数えて、原則として14日以内に、出入国在留管理庁へその旨を届け出なければなりません。
複数の外国人の方を同時期に、あるいは継続的に受け入れている企業様にとっては、それぞれの外国人の方について、これらの「事由発生日」を個別に、かつ正確に記録し、それぞれの届出期限を確実に管理するための仕組み作りが、法令遵守のためには極めて重要です。
届出の漏れや遅延は、企業のコンプライアンス意識が低いと見なされ、間接的に企業の社会的信用にも関わる可能性があることを、改めて認識しておきましょう。
届出書には何を記載する?企業が正確に把握し、日頃から管理すべき外国人従業員のデータ項目
「中長期在留者の受け入れに関する届出」を企業が行う際に、提出が必要な書類は、基本的にそれぞれの届出事由に応じた「届出書」そのものです。

届出書のサンプルです。
この届出書には、まず、受け入れを開始または終了した中長期在留者である外国人の方の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、日本国内での正確な住居地、そしてその方が所持する在留カードに記載されている12桁の在留カード番号といった、個人を特定するための基本的な情報を、間違いのないように正確に記入する必要があります。
これらの情報は、外国人従業員の方の採用時や在籍中に、企業として正確に把握し、適切に管理しておくべき重要なデータです。
それに加えて、例えば受け入れを開始した正確な年月日や、その外国人の方が企業で行う具体的な活動内容。
(就労系の在留資格であれば、担当する職務内容や役職など)
あるいは、受け入れを終了した正確な年月日や、その終了に至った具体的な理由(例えば、本人の自己都合による退職、雇用契約期間の満了、会社都合による解雇、研修プログラムの修了、留学生の卒業や退学など)といった、それぞれの届出事由に応じた特定の情報も、詳細かつ正確に記載する必要があります。
留学生の年に2回の定期報告の場合には、報告基準日時点での在籍状況に関する情報(例えば、在籍している留学生の総数や、前回の報告以降に除籍となった学生の数など)が、主な記載内容となります。
これらの届出書に記載する情報は、入国管理局が個々の外国人の在留状況を的確に管理し、必要に応じて適切な行政措置を講じるための基礎となるため、極めて重要性が高いものです。
企業としては、これらの情報を日頃から正確に収集し、安全に管理する体制を整えておくことが、スムーズな届出業務の前提となります。
24時間受付中!
メールで無料相談はこちらから
お電話でのお問い合わせは
03-4400-6535
【対応時間:10:00~19:00(月~金)】【休日:土日祝日】
どの提出方法が企業にとってベスト?3つの選択肢と、特にオンライン申請の大きなメリット・活用法
丁寧に作成し、記載内容を最終確認した届出書は、現在、以下の3つのいずれかの方法で、出入国在留管理庁へ正式に提出することができます。
企業の規模や業務体制、担当者の方のITスキルなどを総合的に考慮して、自社にとって最も効率的で確実な方法を選んでください。
なお、近年の傾向として、出入国在留管理庁は、行政手続きの迅速化とペーパーレス化を推進する観点から、特にオンラインシステムによる届出の利用を強く推奨しています。
【オンライン(出入国在留管理庁電子届出システムを利用)】
出入国在留管理庁が公式に提供している「電子届出システム」は、企業の担当者の方が、自社のオフィスや、場合によってはテレワーク中の自宅など、インターネットに接続できる環境さえあれば、原則として24時間365日、曜日や時間を問わずに、いつでも届出をオンライン上で完了させることができる非常に便利なシステムです。この電子届出システムを企業として初めて利用する際には、事前に企業情報や担当者情報を登録するなどの利用者情報登録といった初期設定が必要になる場合があります。このシステムを利用する企業側の大きなメリットとしては、まず、地方の出入国在留管理局の窓口へわざわざ直接出向くための時間や交通費を大幅に節約できる点が挙げられます。また、提出した届出の履歴や、現在の手続きの処理状況などをオンライン上で簡単に確認できるため、進捗管理が容易になるという利点もあります。さらに、オンライン申請の場合、届出事項そのものを証明するための特別な添付資料の提出は、原則として不要とされています。近年では、GビズID(法人共通認証システム)との連携も進んでおり、一度GビズIDを取得すれば、他の行政手続きと合わせて利用できる場合もあります。複数の外国人を雇用している企業や、届出業務を複数の担当者で行う可能性がある企業にとっては、このオンラインシステムは業務効率化の観点から非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
【郵送】
正確に記入し、内容を確認した届出書に、届出を行う企業の担当者の方がその企業の正規の職員であることを証明する書類(例えば、社員証の鮮明なコピーや、会社発行の在職証明書など)の写しを一部同封し、以下の指定された宛先に郵送することで提出することも可能です。
〒160-0004
東京都新宿区四谷一丁目6番1号 四谷タワー14階
東京出入国在留管理局 在留調査部門 届出受付担当 宛
この住所は、日本全国の受け入れ機関からの郵送による「中長期在留者の受け入れに関する届出」を専門に受け付けている中央の部署です。
郵送する際には、封筒の表面に、赤色のペンなどを用いて目立つように「届出書在中」と明確に記載することが求められています。
郵送の場合、入国管理局から書類を受け取った旨の個別の連絡や受領印の返送は通常ありません。
そのため、送付した大切な書類が確実に届いたかを確認できるように、また、万が一の郵便事故に備えるためにも、配達記録が残り、かつ荷物の追跡が可能な簡易書留や特定記録郵便といった方法で発送することが強く推奨されます。
郵送による届出の場合も、届出事項そのものを証明するための特別な添付資料の提出は原則として不要です。
ただし、届出を行う担当者の職員身分証の写しは忘れずに同封してください。
【窓口へ持参】
企業の所在地を管轄している最寄りの地方出入国在留管理官署(本局、支局、または出張所のいずれか)の窓口に、完成した届出書を直接持参して提出することも、もちろん可能です。
この方法で提出する際には、窓口で手続きを行う担当者の方が、その企業の正規の職員であることを証明できる書類(社員証や健康保険証など。事前に確認することをお勧めします)を提示する必要があります。
各入国管理局や支局・出張所の窓口の受付時間は、施設やその日の混雑状況、そして手続き内容によって異なる場合があるため、訪問する前に必ず電話などで事前に確認することをお勧めします。
特に都市部の大規模な入管局では、長時間待たされることも少なくありません。窓口で直接提出する場合も、届出事項そのものを証明するための特別な添付資料の提出は、原則として不要です。
まとめ:努力義務ですがしっかりと届出を行おう!
いかがだったでしょうか?企業にとっては努力義務の手続きとはなりますが、ルール通りに届出を行うことで雇用している外国人の在留審査がプラスに働くこともあります。そして、2人目、3人目と外国人を雇用する際には「あそこの企業はルール通りに届出を行っている企業だから外国人雇用に関しても安心できるだろう」と、入管からも評価されることでしょう。
外国人従業員、自社のためにも届出は遅滞なく行いましょう!
私たちは外国人ビザ申請専門の行政書士法人35です。年間350件超のサポート実績。オンライン申請で全国の入国管理局への申請代行が可能です。失敗しないビザ申請ならお任せください。
24時間受付中!
メールで無料相談はこちらから
お電話でのお問い合わせは
03-4400-6535
【対応時間:10:00~19:00(月~金)】【休日:土日祝日】
関連するオススメ記事はこちら
【記事監修者】
行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート