在留カードの写真について|サイズ・背景・加工等のルールを徹底解説
在留カードの申請で、最も多い不備の一つが「顔写真」です。
規格通りに見えても、ほんのわずかな違いで受理されず、再提出を求められるケースが後を絶ちません。再提出は、時間も手間もかかる大きなストレスです。
「絶対に失敗したくない」あなたのための完全ガイドとして、この記事では出入国在留管理庁が定める厳格な写真規格から、多くの人が陥る「不受理になるNG例」とその対策、そして最も確実な写真の準備方法まで、専門家の視点で徹底的に解説します。読み終える頃には、自信を持って完璧な顔写真を準備でき、一発で申請を成功させる道筋が見えるはずです。
目次
なぜこんなに厳しい?在留カード写真が持つ「3つの重要性」
「たかが写真一枚で、なぜここまで細かいルールが?」そう思うかもしれません。しかし、在留カードの顔写真に厳格な規格が求められるのには、明確な理由があります。その背景にある3つの重要性を知れば、規格を守ることが、あなた自身を守ることに繋がるとご理解いただけるでしょう。
理由1:単なるカードではなく「公的な身分証明書」だから
在留カードは、日本に中長期間の滞在を法的に許可されたことを証明する、極めて重要な「公文書」です。銀行口座の開設や携帯電話の契約など、日本の社会生活におけるあらゆる場面で、あなたの身分を法的に証明します。そのため写真には、誰が見てもあなた本人だと明確にわかる、絶対的な正確性が求められます。
理由2:ICチップと連動する「生体認証データ」だから
現代の在留カードにはICチップが埋め込まれています。あなたの顔写真は、空港の自動化ゲートで瞬時に照合される、重要なデジタル情報(生体認証データ)なのです。写真の品質や顔のサイズが規格通りでないと、このシステムが正常に機能せず、円滑な出入国やセキュリティの根幹を揺るがしかねません。
理由3:国際基準の「パスポートレベル」の信頼性が必要だから
在留カードは、日本国内だけでなく、海外へ一時出国し再入国する際などにもパスポートと共にその効力を発揮します。写真の規格が、国際的なパスポートの基準に準じているのは、そのためです。写真一枚の品質が、日本の発行する身分証明書全体の信頼性を左右すると言っても過言ではないのです。
【基本のキ】最重要!写真の「サイズ・有効期限」の公式ルール
在留カード写真の規格で、まず絶対に外せないのが「サイズ」と「有効期限」。この二つの基本ルールは、全ての規格の土台です。この土台を完璧に固めることが、申請を成功させる最短ルートとなります。一つずつ正確に確認していきましょう。
サイズは「縦4cm × 横3cm」だけじゃない!顔の大きさも厳密に規定
写真全体のサイズは「縦4cm × 横3cm」です。
これは日本の履歴書サイズと同じで、証明写真機でも選びやすい規格です。しかし、重要なのは全体の大きさだけではありません。写真の中での顔の大きさや配置にも、数ミリ単位の厳しい規定が存在します。具体的には、頭の頂点からあごの先までが32mm〜36mmの範囲に収まること。これは、ICチップによる顔認証を正確に機能させるための技術的な要請です。この数値を守ることが、スムーズな申請への第一歩となります。
有効期限は「3ヶ月」と覚えれば確実!過去の写真の使い回しはNG
次に有効期限。公式サイトでは「6ヶ月以内に撮影したもの」とされていますが、最も安全なのは「申請日から3ヶ月以内に撮影した写真」を使うことです。なぜなら、申請では「現在の容姿」を正確に反映していることが何よりも重視されるからです。特に、過去の申請で使った写真や、古い在留カードの写真を使い回すことは絶対に避けてください。写真はシステムで自動的に照合され、即座に不備として判断されます。だからこそ、申請の都度、必ず新しく撮影する習慣をつけましょう。
これが不受理の分かれ道!見落としがちな背景・服装・表情のチェックポイント
写真のサイズと有効期限という基本を押さえたら、次に見るべきは写真の「中身」そのものです。背景や服装、表情といった要素は、自分では大丈夫だと思っていても、思わぬ落とし穴が潜んでいます。ここで解説するポイントが、受理される写真とそうでない写真を分ける決定的な違いとなります。
背景:影は絶対NG!「無背景」の落とし穴
背景は、柄や模様のない「無背景」が鉄則。色は白や薄いグレーが推奨されます。自宅の白い壁で撮影する場合でも、壁紙の微細な凹凸や、ご自身の体の影が写り込むと即座に不受理の原因となります。完璧な無背景を実現するには、均一な照明のコントロールが鍵です。
服装と髪型:「顔の輪郭」が隠れていないかが全て
服装や髪型で最も重要なのは、「顔の輪郭や主要なパーツ(目、眉、鼻、口)が、髪や衣服で一切隠れていないこと」です。前髪が目にかかる、タートルネックで顎のラインが不鮮明、といった状態は認められません。原則として帽子やヘアバンドも不可。迷ったら、おでこやフェイスラインがすっきりと見える髪型と、首周りが開いた服装を選ぶのが最も安全です。
表情と視線:歯を見せた笑顔、伏し目はNG
在留カードの写真は、あなたの「平常の表情」を公的に記録するものです。歯を見せて笑っている写真や、怒った顔は使用できません。口を閉じ、自然な表情を心がけてください。視線はまっすぐカメラに向け、伏し目や横目はNGです。また、本人確認を困難にするカラーコンタクトレンズや過度なメイクも、使用は認められません。
眼鏡:光の反射と太いフレームに要注意
普段から眼鏡をかけている方は着用したまま撮影できますが、細心の注意が必要です。照明がレンズに反射して目が見えない、フレームが目や眉の一部に重なる、といった写真は確実に不受理となります。これを避けるため、多くの専門家は、撮影時だけは眼鏡を外すことを強く推奨しています。
【絶対禁止】一発アウト!デジタル加工・スマホアプリの危険なワナ
在留カード写真で近年最も増加している不受理の原因、それがスマートフォンアプリなどによる「デジタル加工」です。これは単なる不備ではなく、絶対に見逃されることのない、最も厳しい禁止事項の一つ。たとえ悪気がなくても「写真の改変」と見なされかねない、非常にリスクの高い行為です。
証明写真とSNS写真は、目的が180度違う
大前提として、「証明写真」と「SNS用のプロフィール写真」は、その目的が全く異なります。プロフィール写真は自分をより良く見せるためのもの。一方、証明写真は「ありのままの自分」を公的に証明するためのものであり、そこには一切の演出が許されません。この根本的な違いを理解することが、加工のワナを避ける第一歩です。
基準は一つ。「ありのままの自分」か、そうでないか
出入国在留管理庁は、本人確認を困難にするいかなる加工も認めていません。具体的には、以下のような加工は全て一発でアウトです。
- 目を大きく見せる、黒目を強調する加工
- 肌を滑らかにする「美肌モード」や過度な美白処理
- 顔の輪郭をシャープにする小顔修正
- ほくろやシミ、しわなどを意図的に消す修正
たとえスマートフォンのカメラに標準搭載されている「ビューティーモード」であっても、絶対に使用してはいけません。自動加工機能は、知らず知らずのうちにあなたをルール違反に導く最大の落とし穴です。撮影時は、必ず全ての加工機能をオフにしてください。
あなたに最適なのはどれ?写真の準備方法3パターン徹底比較
在留カード用の顔写真を準備するには、主に3つの方法があります。それぞれにメリットとデメリット、そして見過ごせない「不受理のリスク」が存在します。ご自身の状況や予算、そしてどれだけ確実性を重視するかに合わせて、最適な方法を選びましょう。
【確実性No.1】プロの写真館
最も信頼性が高く、不受理のリスクがほぼゼロなのがプロの写真館です。「在留カード用で」と一言伝えれば、照明から背景、顔のサイズまで全ての規格を完璧に満たした写真を作成してくれます。この方法の最大のメリットは、その絶対的な安心感です。一方で、費用が2,000円以上と高めで、予約や移動の手間がかかる点がデメリットと言えるでしょう。そのため、初めて申請する方や、費用よりも確実性を最優先したい方に最適な方法です。
【コスパ最強】自動証明写真機
駅やコンビニの近くにある自動証明写真機は、費用と信頼性のバランスが取れた、最も一般的な選択肢です。多くの機種に「在留カード用」のサイズ設定があり、手軽に撮影できます。メリットは、800円程度からと手頃な費用で、短時間で完了する利便性です。しかし、正しい姿勢や表情、前髪がかかっていないかなどを、狭いブースの中でご自身で完璧にチェックする必要があるという難しさがあります。また、一部の機械にある「美肌モード」などの加工機能は、絶対に使用してはいけません。ある程度のリスク管理は自分でできるので、費用と手間のバランスを重視したい方向けです。
【上級者向け】スマホ撮影+コンビニプリント
スマートフォンで自撮りし、コンビニで印刷する方法は、数百円で済む最も安価な手段です。しかし、これは専門家として決してお勧めできない、最も不受理リスクが高い方法です。自宅で均一な照明と完全な無地の背景を用意するのは極めて困難であり、意図せず加工機能を使ってしまう危険性も常に伴います。わずかな費用を節約するために、申請が数ヶ月遅れるという、あまりにも高い代償を払う可能性があることを理解すべきです。
写真の再提出を指示された場合
あなたが提出した写真が規定に反していて再提出を指示された場合には素直に従ってください。
規定に反しているものはたとえ窓口でどんなに粘っても受理はされません。無駄な時間を過ごすだけです。
写真を再提出する際には、写真提出書という再提出用の書類を渡されますのでそこに新しい写真を貼り付けて、もう一度窓口に提出に行きましょう。
【まとめ】たかが写真、されど写真。在留カードの顔写真は「未来への投資」です。
在留カードの顔写真は、単なる申請書類の一部ではありません。それは、あなたの日本での生活やキャリアそのものを証明する、最も重要な身分証明書の「顔」です。本記事で解説してきた数々の厳しい規格は、その一枚が持つ信頼性を国際的なレベルで担保するために存在します。
「これくらいなら大丈夫だろう」という、ほんのわずかな油断が、申請の遅延という大きな代償に繋がります。今回ご紹介した規格や不受理となるNG例を参考に、ぜひ完璧な一枚を準備し、自信を持って申請に臨んでください。
最も確実な方法は、プロの写真館か、信頼できる証明写真機を利用すること。そこで支払う費用は、あなたの貴重な時間を守り、スムーズな未来を手に入れるための、最も賢い「投資」なのです。
私たちは外国人ビザ申請専門の行政書士法人35です。年間350件超のサポート実績。オンライン申請で全国の入国管理局への申請代行が可能です。失敗しないビザ申請ならお任せください。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート