ネパール人を日本で雇用するための学歴要件とは?技人国(ぎじんこく)ビザは取れる?大学の3年制・提携カレッジとビザ要件を徹底解説
優秀な人材を求めて、ネパールの大学卒業生の採用を検討する企業が増えています。しかし、「ネパールの大学は3年制だが、日本の大卒と同等と見なされるのか?」「トリブバン大学の提携カレッジ卒でも大丈夫?」といった学歴に関する切実な疑問は、ビザ申請の成否を左右する、極めて重要かつ専門的な問題です。
この記事では、日本の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を取得する上で、ネパールの高等教育がどう評価されるのかを徹底解説。特に判断が難しい「3年制学士」や「提携カレッジ」のケースに焦点を当て、許可の可能性を高める申請戦略まで具体的にお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたのケースでの可能性と、そのために何をすべきかが明確になっているはずです。
目次
【大前提】日本の就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」が求める学歴
ネパールの学歴を評価する前に、まずは日本の就労ビザ、特に多くの専門職が対象となる「技術・人文知識・国際業務」ビザの基本ルールを押さえましょう。この日本の「物差し」を正確に理解することが、ネパールの学歴を正しく評価するための第一歩です。
原則:「大学卒業+学士号」がグローバルスタンダード
このビザを取得するには、原則として「大学を卒業し、学士号(Bachelor’s Degree)を取得したこと」が求められます。これは、専門業務を遂行できるだけの基礎知識や論理的思考力があることの、国際的に通用する客観的な証拠と見なされるからです。日本の大学はもちろん、海外の大学も含まれます。また、日本の短期大学(短期大学士)や専門学校(専門士)卒業も、同等以上の教育として認められます。
条件:「専攻と職務の関連性」が必須
ただ大学を卒業していれば良いわけではありません。就労ビザは、学んだ専門性を日本社会で活かしてもらうためのもの。そのため、大学での専攻と日本での仕事内容の間に、強い関連性があるかが厳しく審査されます。例えば、文学部卒の方がITエンジニアとして申請しても、専門性が異なると判断され許可は極めて困難です。
例外:学歴を満たせない場合の「実務経験」という道
万が一、学歴要件を満たせない場合でも、「技術・人文知識」分野で10年以上、「国際業務」分野で3年以上の実務経験があれば、ビザを取得する道も残されています。ただし、過去の全ての会社から具体的な業務内容が記された在職証明書を取り付ける必要があり、証明のハードルは学歴よりもはるかに高いのが実情です。
【ケース別】ネパールの学歴はこう評価される!3つの重要論点
日本の就労ビザの基本ルールを踏まえ、いよいよ本題です。審査官が「おや?」と立ち止まる可能性のある、ネパール特有の3つの重要論点を解説します。ご自身の学歴がどのケースに当てはまるか、ぜひ確認してください。
論点1:ネパールの「大学(University)」卒業で「学士」を持つ場合
トリブバン大学をはじめとする、ネパールの正規の大学で「学士(Bachelor’s Degree)」の学位を取得した場合、原則として日本の「大学卒業」と同等と見なされます。この点は、申請における強力な基盤であり、学歴要件はクリアできると自信を持って主張できます。卒業証明書と学位記で、その事実をきちんと証明することが重要です。
論点2:ネパールの「3年制学士課程」は不利になるか?
ネパールでは人文科学系などを中心に3年制の学士課程が一般的ですが、正規の学士号であれば、3年制であること自体が直ちに不許可の理由にはなりません。ただし、審査官が「日本の4年制大学と同等の専門性を、3年間で本当に習得できているのか?」という視点を持つ可能性はあります。そのため、履修科目の内容が充実していることを成績証明書などで具体的に示し、専門性の高さを補足説明することが、審査官の疑問を解消する上で極めて有効です。
論点3:トリブバン大学などの「提携カレッジ」卒業生の扱い
学位を授与する大学と、実際に教育を行うカレッジが異なるというネパール特有の制度は、日本の画一的な大学制度とは大きく異なります。そのため、審査官はそのカレッジの教育水準や信頼性に疑問を持つ可能性があります。学位記が提携元大学から発行されていても、実際に通ったカレッジがネパールの教育省等に認可された正規の高等教育機関であることを、客観的な資料で自ら証明することが強く推奨されます。
【申請戦略】ネパールの学歴で許可率を上げるための3つの秘訣
ネパール特有の学歴背景で日本の就労ビザ審査をクリアするには、戦略的な準備が不可欠です。「証明責任は自分にある」という事実を踏まえ、審査官の懸念を払拭し、許可を勝ち取るための3つの申請戦略を伝授します。
秘訣1:学歴の「正当性」を証明する補足資料を添付する
卒業証明書と学位記だけでは、説得材料として不十分な場合があります。あなたの学歴が、日本の基準でも正当な高等教育であることを客観的に証明するため、以下の資料で多角的にアピールしましょう。まず、大学の公式案内やWebサイトの抜粋を提出し、あなたの母校がネパールの正規の教育制度に位置づけられていることを示します。次に、ネパールの教育省などが発行する公的な認可リストなどを添付し、第三者からのお墨付きを証明します。最後に、詳細な成績証明書やシラバスを提出し、教育内容の専門性の高さを具体的に可視化するのです。
秘訣2:説得力のある「雇用理由書」で関連性を論理的に示す
次に、採用企業に協力してもらい、説得力のある「雇用理由書」を作成します。ここでは「なぜ他の誰でもなく、このネパール人(あなた)を採用する必要があるのか」を、事業計画と結びつけて具体的に説明します。あなたの専門性と会社の未来がいかに強く結びついているかを、熱意と論理で訴えるのです。この書類が、あなたの学歴と専門性の価値を、審査官に理解させるための「翻訳機」の役割を果たします。
秘訣3:ネパール特有の事情を理解した専門家を活用する
最も避けるべきは、日本の基準だけで自己判断し、ネパール特有の論点への説明が不十分なまま申請してしまうことです。ビザ申請の専門家である行政書士は、過去の膨大な事例から、「3年制学士」や「提携カレッジ」といった論点を、審査官が納得するように説明するノウハウを持っています。専門家の知見は、あなたの申請の成功確率を飛躍的に高める最も賢明な投資と言えるでしょう。
【まとめ】ネパールの学歴でのビザ申請は「丁寧な説明責任」を果たすことが全て
ネパールの大学で「学士」の学位を取得した人材は、日本の就労ビザの学歴要件を満たすポテンシャルを十分に持っています。しかし、日本とは異なる「3年制課程」や「提携カレッジ」といった教育システムについて、その正当性を日本の審査官に理解してもらうためには、申請者側が「丁寧な説明責任」を果たすことが全てです。
「きっと分かってくれるだろう」ではなく、「これなら誤解の余地なく分かるだろう」というレベルで、ご自身の学歴の価値を客観的な資料で証明すること。それこそが、優秀なネパール人材の日本でのキャリアを切り拓く、最も確実な方法なのです。あなたの素晴らしいポテンシャルを、書類の準備不足で閉ざしてしまうのは、あまりにもったいないことです。
その「丁寧な説明」を、どう組み立てれば審査官に響くのか。その具体的な戦略作りを、私たち専門家がお手伝いします。
私たちは外国人ビザ申請専門の行政書士法人35です。年間350件超のサポート実績。オンライン申請で全国の入国管理局への申請代行が可能です。失敗しないビザ申請ならお任せください。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート