在留カードを紛失してしまった場合の対処法は?再交付の方法を解説
「日本で生活するための大切な在留カードを失くしてしまった。どうすれば良いのだろうか…」
在留カードを紛失したあなたは、今まさに不安な状況にあるかもしれません。
在留カードの紛失は、日本に在留する外国人の方にとって、また外国人を雇用する企業の担当者の方にとっても、気がかりな出来事です。
しかし、心配はいりません。
定められた手続きを正確に、そして迅速に行えば、在留カードは必ず再発行されます。
本解説ページでは、在留カードを紛失した直後にとるべき行動から、出入国在留管理庁での再交付申請の具体的な手順、準備すべき必要書類、そして絶対に守らなければならない14日以内という申請期限に至るまで、専門家が一つ一つ丁寧に解説します。
海外で紛失した場合の対応策も網羅しています。
本解説を読めば、あなたは落ち着いて適切な一歩を踏み出せるでしょう。
まず落ち着いて!在留カード紛失直後にやるべき最重要アクション
在留カードを紛失したと気づいた瞬間は、誰でも焦ってしまうものです。
しかし、まずは深呼吸をして落ち着いてください。
パニックにならず、迅速かつ的確に行動すれば、問題は解決できます。
紛失直後にあなたが取るべき最も重要なアクションは、主に2つあります。
これらの初動対応が、その後の手続きをスムーズに進め、万が一の悪用リスクを軽減する鍵となります。
【アクション1】警察へ届け出て「遺失届出証明書」等を入手する(国内紛失の場合)
日本国内で在留カードを紛失したり、盗難に遭ったりした場合は、直ちに最寄りの警察署または交番へ行き、その事実を届け出てください。
届出をすると、警察から「遺失届出証明書」または「盗難届出証明書」といった公的な証明書が発行されます。
警察が発行する証明書は、後日、出入国在留管理庁で在留カードの再交付を申請する際に必ず必要となる大切な書類です。
加えて、警察への届出は、紛失したカードが不正に利用される事態に備える意味でも重要です。
公的な記録として紛失日時が残るため、万が一悪用された場合でも、あなたの責任ではないことを示しやすくなります。
【アクション2】災害の場合は市区町村役場等へ(災害による紛失の場合)
もし、火災や地震、水害といった自然災害によって在留カードを失くしてしまった場合は、警察署ではなく、お住まいの地域の市役所や区役所、あるいは消防署に届け出る必要があります。
届出を行うと、「り災証明書」という書類が発行されます。
発行されるり災証明書が、災害による紛失を公的に証明する書類となり、再交付申請の際に必要になります。
【重要】紛失を知った日から14日以内に再交付申請を!
在留カードを紛失した、または盗難された事実を知った日から、14日以内に再交付の申請を出入国在留管理庁に対して行わなければなりません。
海外で紛失した場合は、日本に再入国した日から14日以内です。
紛失後の14日間という申請期間は、出入国管理及び難民認定法で定められた法的な義務です。
この期限を守らなかった場合、罰金が科されたり、最悪の場合には懲役刑の対象となったりする可能性があります。
さらに、将来の在留資格の更新や変更申請の際に、不利な影響が出ることも考えられます。もし、やむを得ない理由で申請が遅れてしまう場合には、その理由を記した理由書を提出する必要があります。
国内で在留カードを紛失した場合の再交付申請ステップ
日本国内で在留カードを紛失してしまった場合、再交付を受けるためにはいくつかのステップを踏む必要があります。
事前に流れを把握しておけば、落ち着いて手続きを進められるでしょう。
ここでは、具体的な申請手順を段階を追って詳しく解説します。
【Step 1】 必要書類を完璧に準備する
再交付申請の第一歩は、必要書類を正確に揃える作業です。
まず「在留カード再交付申請書」を用意します。
申請書は出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロード可能です。
記入例などを参考に、間違いのないように記載しましょう。
次に、あなたの顔写真が1枚必要です。
写真は縦4センチメートル、横3センチメートルのサイズで、申請する日から3ヶ月以内に撮影された鮮明なものを用意してください。
無帽で正面を向き、背景がないものが規格です。
ただし、申請者が16歳未満である状況では、写真の提出は免除されます。
そして、警察署で発行された「遺失届出証明書」または「盗難届出証明書」、災害の場合は「り災証明書」も必須です。
もし、これらの証明書を提出できない特別な事情がある場合は、その理由と紛失状況を詳細に記した理由書(陳述書)を作成します。
加えて、あなたの有効な「パスポート」、またはパスポートを提示できない場合は「在留資格証明書」を提示する必要があります。
パスポートを提示できない状況でも、その理由を記した理由書が必要です。
もし、あなたが資格外活動の許可を受けている場合は、その「資格外活動許可書」も提示してください。
新しい在留カードに漢字氏名の併記を希望し、まだ併記されていない方は、「在留カード漢字氏名表記申出書」も合わせて提出できます。
【Step 2】 住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ行く
必要書類が全て揃ったら、あなたの住んでいる地域を管轄する地方出入国在留管理局、またはその支局・出張所へ向かいます。
例えば、千葉県にお住まいであれば、東京出入国在留管理局千葉出張所が申請窓口の一つです。
管轄外の入管では申請を受け付けてもらえないため、事前に自身の住居地を管轄する入管を必ず確認しましょう。
入管の開庁時間は、通常、平日の午前9時から12時、そして午後1時から4時までです。
特に3月などの繁忙期は窓口が大変混み合います。
時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。
【Step 3】 窓口で申請書類を提出する
管轄の入管に到着したら、準備した申請書類一式を指定された窓口へ提出します。
窓口で入国審査官から簡単な質問をされる場合もあります。
質問を受けた状況では、正直かつ明確に回答しましょう。
書類に不備がなければ、申請は受理されます。
【Step 4】 新しい在留カードの受領
申請が受理され、内容に問題がなければ、原則として申請したその日のうちに新しい在留カードが交付されます。
これは迅速な対応の場合です。
ただし、窓口の混雑状況や、申請内容に確認が必要な点があるなど、状況によっては即日交付されないケースもあります。
即日交付されない状況では、「申請受付票」という書類が渡され、後日改めて新しい在留カードを受け取りに行くよう指示されます。
後日受け取りの際には、渡された申請受付票とパスポート(または在留資格証明書)を持参する必要があります。
海外で在留カードを紛失してしまった場合の対処法
海外旅行中や一時帰国中に在留カードを紛失してしまう事態は、想像するだけでも不安になるでしょう。
しかし、このような状況でも慌てる必要はありません。
日本国内での紛失とは少し異なる対応が求められますが、適切な手順を踏めば問題なく日本へ再入国し、在留カードの再交付を受けられます。
海外で在留カードを失くした場合の具体的な対処法を解説します。
現地警察への届出と紛失証明書の入手は必須
海外で在留カードを紛失した、または盗難に遭ったと気づいたら、まず最初に行うべき行動は、滞在している国の現地警察署へ速やかに届け出ることです。
届出を行うと、現地の警察から「遺失届受理証明書」や「盗難届受理証明書」といった、紛失の事実を証明する公的な書類が発行されます。
現地警察発行の証明書は、日本へ再入国する際の空港での手続きや、帰国後に日本で在留カードの再交付を申請する際に極めて重要な書類となります。
証明書が外国語で記載されている場合、後日、日本語の翻訳文の提出を求められることもありますので、翻訳の必要性も念頭に置いておきましょう。
日本への再入国はどうすればいい?
在留カードを海外で紛失しても、日本への再入国は可能です。
あなたが有効な「再入国許可」(みなし再入国許可を含みます)を受けており、かつ有効なパスポートを所持していれば、原則として在留カードがなくても日本へ帰国できます。
日本の空港での入国審査の際には、入国審査官に在留カードを海外で紛失した旨を正直に申し出て、現地警察が発行した紛失証明書を提示してください。
しかし、航空会社によっては、在留カードがないことを理由に搭乗を断られるケースも稀に報告されています。
より確実に再入国するため、またはパスポートも同時に紛失してしまった場合には、「再入国許可期限証明書」という書類が役立ちます。
再入国許可期限証明書は、日本にいるご家族やご友人、勤務先の方などに代理で、日本の地方出入国在留管理局から発行してもらうものです。
発行された証明書を国際郵便などで送ってもらい、新しいパスポート(パスポートも紛失した場合)や現地警察の紛失証明書と一緒に提示すれば、航空会社や入国審査での手続きが円滑に進む可能性が高まります。
日本入国後14日以内に国内と同様の再交付申請を
無事に日本へ再入国できたら、それで終わりではありません。
日本に入国した日から14日以内に、あなたの住居地を管轄する地方出入国在留管理局で、在留カードの再交付申請を行う必要があります。
日本入国後の14日間という申請期限は法律で定められており、遵守しなければなりません。
申請に必要な書類は、基本的には日本国内で紛失した場合と同様ですが、紛失を証明する資料として海外の警察が発行した証明書(および必要であればその翻訳文)を提出します。
在留カード再交付申請の代理は可能?条件と必要書類
在留カードの再交付申請は、原則として紛失したご本人が行う必要があります。
しかし、ご本人が未成年であったり、病気などのやむを得ない事情で出頭できない場合には、代理人による申請が認められています。
どのような場合に代理申請が可能なのか、そして代理申請の際に必要な追加書類について詳しく見ていきましょう。
本人申請が原則、でも例外的に代理申請が認められるケース
在留カードの再交付手続きは、申請者本人が地方出入国在留管理局の窓口へ出向いて行うのが基本です。
ただし、法律ではいくつかの例外ケースを定めています。
例えば、申請者本人が16歳未満の子供である場合、同居している16歳以上の親族(父や母など)が代理で申請を行えます。
また、申請者本人が病気や怪我など、やむを得ない理由で自ら出頭できない状況のときも、同居の親族による代理申請が可能です。
申請者本人が病気等の状況では、「仕事が忙しいから」「学校を休めないから」といった理由は、原則として「やむを得ない理由」には該当しない点に注意が必要です。
さらに、成人である申請者が、同居する16歳以上の親族に手続きを依頼する場合や、地方出入国在留管理局長に届け出を行った弁護士や行政書士、あるいは申請者が所属する企業や学校の職員で申請取次の承認を受けた人が、本人からの依頼を受けて代理申請を行うことも認められています。
申請者本人の法定代理人(親権者や後見人など)も代理申請を行えます。
代理申請に必要な追加書類
代理人が再交付申請を行う際には、通常の必要書類に加えて、代理申請であることを証明するための追加書類が必要になります。
まず、申請者本人からの依頼に基づいて代理人が申請する場合(例えば、行政書士に依頼する場合や、本人が成人で親族に依頼する場合など)には、「委任状」が必須です。
委任状には、申請者本人が代理人に手続きを委任する旨を明記し、署名または記名押印します。親族が代理申請を行う場合は、申請者本人との関係を証明する資料、例えば住民票の写し(続柄が記載されたもの)などを提出します。
申請者本人の病気を理由に代理申請する場合は、申請者の病状を証明する医師の「診断書」の提出が求められます。
そして、手続きを行う代理人自身の身分を証明する書類(運転免許証、パスポート、行政書士証票など、顔写真付きのもの)の提示も必要です。
代理申請に必要な追加書類を不備なく揃える作業が、スムーズな代理申請の鍵となります。
再交付にかかる費用と知っておくべき法的義務・罰則
在留カードの再交付を申請するにあたり、費用はかかるのか、そして紛失に関連してどのような法的義務や罰則があるのかは、多くの方が気になる点でしょう。
安心して手続きを進めるため、また、意図せず法律に違反してしまう事態を避けるためにも、費用と法的義務に関する情報を正確に理解しておく作業が大切です。
再交付申請の手数料は原則無料!
在留カードを紛失した場合、盗難に遭った場合、火災などで滅失した場合、あるいはカードが著しく汚れたり破損したりした場合、ICチップの記録が壊れてしまった場合など、紛失・盗難・滅失・毀損等を理由とする再交付申請には、原則として手数料はかかりません。
つまり、無料で新しい在留カードを受け取れます。
ただし、自己都合による理由、例えば「写真写りが気に入らないから新しいものに交換したい」といった「交換希望」による再交付申請の場合には、1,600円の手数料(収入印紙で納付)が必要です。
今回のテーマである「紛失」による再交付は無料である点を覚えておきましょう。
もし古い在留カードが見つかったら?正しい対処法
在留カードの再交付申請を行った後や、新しい在留カードを受け取った後に、以前紛失したと思っていた古い在留カードがひょっこり見つかるケースも考えられます。
「見つかったからラッキー」と安易に考えてはいけません。
発見した古い在留カードの取り扱いには、注意すべき重要な点があります。
正しい対処法を知り、適切に行動しましょう。
新しい在留カードの再交付申請を既に行った、または既に新しいカードが交付されている状況で古い在留カードを発見した場合、あなたは速やかに出入国在留管理庁に古いカードを発見した事実を報告し、指示を仰ぐ必要があります。
紛失届が提出され、再交付の手続きが進められると、古い在留カードの番号はシステム上で失効扱いになっている可能性が高いからです。
出入国在留管理庁は、失効した在留カードの番号情報を管理しています。
したがって、発見した古い在留カードは絶対に使用しないでください。
無効になった可能性のあるカードを使用する行為は、不法滞在と見なされたり、あらぬ誤解を招いたりする原因となり、重大な問題を引き起こしかねません。
入管に報告すると、通常、発見した古い在留カードは返納するよう指示されます。
例えば、マイナンバーカードの場合も、一度廃止手続きを行った後に発見されたカードは使用できず、返納義務があるとされています。
在留カードも同様の考え方が適用されると理解しておきましょう。
古いカードの発見を正直に報告し、指示に従って返納する行動が、あなたの日本における法的な立場を守り、法令遵守の姿勢を示す上で非常に大切です。
【まとめ】在留カード紛失時は迅速・正確な手続きで安心を確保
在留カードを紛失してしまった場合、最も大切なのは、慌てずに落ち着いて、しかし迅速に行動を開始する点です。
本解説ページで詳しく見てきたように、まずは警察への届出を行い、紛失を証明する書類を入手します。
そして、紛失の事実を知った日から14日以内という重要な期限を守り、必要書類を整えて管轄の地方出入国在留管理局で再交付申請を行う流れが基本です。
海外で紛失した場合には、現地の警察への届出に加え、日本への再入国と帰国後の申請手続きが必要になります。
状況によっては「再入国許可期限証明書」の取得も検討しましょう。
代理申請が可能なケースもあります。代理申請を行う状況では委任状などの追加書類が必要です。
紛失による再交付の手数料は原則無料である一方、申請期限の遅延や在留カードの不携帯には罰則規定があるため、法的義務の遵守は不可欠です。
万が一、再交付後に古いカードが見つかった際は、自己判断で使用せず、必ず入管に報告し指示に従ってください。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート