特例期間とは?在留期間満了後に発生する期間です。条件と注意点を解説!
在留資格の更新や変更を申請したものの、審査結果を待つ間に在留カードの期限が切れてしまう…
「これって、オーバーステイ?」「このまま働いていいの?」そんな不安を感じていませんか。ご安心ください。あなたには、合法的に日本に滞在し続けられる、法的に認められた「特例期間」という権利があるのです。しかし、この期間特有の思わぬ落とし穴も存在します。この記事では、「特例期間」の基本的な仕組みから、期間中の就労可否、多くの方が直面する銀行口座のトラブル、そして万が一不許可になった場合の対処法まで、あなたの全ての不安を解消します。読み終える頃には、特例期間を安心して過ごすための、確かな知識が身についているはずです。
目次
まずは結論から|特例期間の基本ルール早わかり
詳細な解説に入る前に、まずはあなたの不安を解消する結論からお伝えします。特例期間とは、在留カードの期限が切れても、在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請を行った場合には、当該処分がされる時又は在留期間の満了日から2ヵ月が経過する日終了する時のいずれか早い時までの間は、日本に滞在できる期間です。
就労については、原則としてこれまでの在留資格の範囲内で働き続けることができ、海外への一時帰国も、みなし再入国許可があれば問題なく可能です。そして、合法であることの証明は、在留カード裏面の「申請中」スタンプ、またはオンライン申請の「受付完了メール」がその役割を果たします。この証明方法の違いが、後のトラブルを避ける鍵となります。
特例期間中の就労|あなたが「働ける場合」と「働けない場合」
特例期間に関して、おそらくあなたが最も知りたいのは「このまま仕事を続けていいのか?」という点です。知らないうちにルール違反となるケースもあるため、ご自身の状況を正しく理解することが極めて重要です。ここでは、就労が「できる場合」と「できない場合」を明確に解説します。
【継続OK】更新申請の場合
今持っている在留資格のまま、期間だけを延長する「更新」申請の場合は、非常にシンプルです。特例期間中も、これまで通り同じ会社で、同じ業務内容の仕事を問題なく続けられます。あなたの就労環境に変化がない限り、何も心配は要りません。
【転職者は注意!】変更申請の場合
転職などに伴い、在留資格や活動内容を変える「変更」申請の場合は、細心の注意が必要です。特例期間中に許可されるのは、あくまで「前の在留資格の範囲内での活動」のみ。つまり、まだ許可の下りていない新しい会社で働き始めることはできません。たとえ一日でも、許可が下りる前に新しい職場で働けば、それは資格外活動となり、不法就労と判断されます。
【特に注意!】留学生の場合
これらは、本人が意図しないまま不法就労に陥ってしまう、最も典型的なパターンです。
- 留学生の場合:週28時間以内のアルバイト(資格外活動許可)は、「学生であること」が絶対条件です。学校を卒業した瞬間、あなたは「学生」ではなくなります。たとえ特例期間中であっても、アルバイトを続けることはできません。
【最重要】特例期間の2大トラブルとその完璧な予防策
「自分は合法的に滞在しているはずなのに、なぜ?」特例期間中には、そうした予期せぬトラブルに巻き込まれることがあります。特に多いのが、「銀行口座の凍結」と「警察官による職務質問」です。ここでは、なぜこれらのトラブルが起こるのか、そしてそれを未然に防ぐための有効な予防策と対処法を解説します。
トラブル1:銀行口座が凍結された!
なぜ起こるのか?
これは、銀行のシステムがあなたの在留カードに記載された「在留期間の満了日」を自動検知し、期限切れと判断して口座をロックしてしまうために起こります。銀行側としても、不正利用を防ぐためのやむを得ない措置なのです。
最も有効な予防策
最も重要なのは、問題が起きる前に、先手を打つことです。在留カードの期限が切れる「前」に銀行の窓口へ行き、「現在、在留資格の更新を申請中で、まもなく特例期間に入ります」と伝えてください。この「事前のひと手間」が、給与受け取りや家賃支払いといった、あなたの生活のライフラインを守る最も重要な行動です。
起きてしまった時の対処法
万が一凍結されてしまったら、慌てずに銀行の窓口へ行きましょう。在留カードと、裏面の「申請中」スタンプ(またはオンライン申請の受付完了メール)を提示し、特例期間中であることを冷静に説明すれば、通常は解除してもらえます。
トラブル2:警察官に不法滞在と疑われた!
なぜ起こるのか?
警察官は、まず在留カードの有効期限を確認します。期限が切れていれば、不法滞在(オーバーステイ)の疑いを持つのは当然の職務です。特にオンライン申請の場合、在留カードに「申請中」のスタンプがないため、口頭での説明だけでは証明が困難になります。
最も有効な予防策
オンライン申請で手続きした方は、必ず「受付完了メール」を印刷し、パスポートや在留カードと一緒に携帯してください。これが、あなたが合法的に滞在していることを証明する、唯一無二の「物的証拠」となります。
疑われた時の対処法
職務質問を受けたら、まず「現在、在留資格の更新(または変更)を申請中で、特例期間中です」と明確に伝えます。そして、在留カードと共に、裏面のスタンプや印刷した受付完了メールを冷静に提示してください。ほとんどの場合、これで理解してもらえます。
もし申請が「不許可」になったら?その後の3ステップ
特例期間中に、残念ながら申請が「不許可」となってしまうケースもゼロではありません。しかし、不許可通知は終わりを意味しません。パニックにならず、冷静に、そして戦略的に行動することが、あなたの未来を左右します。ここでは、万が一の事態に備えるための3ステップを解説します。
ステップ1:まずは合法的な滞在期間を確保する(特定活動への変更)
不許可の通知と共に、入管からは通常、出国準備のための「特定活動」という在留資格への変更が促されます。この手続きを行えば、多くの場合「30日」または「31日」の在留期間が与えられます。この期間が、次の一手を考え、実行するための貴重な時間となります。
ステップ2:次の一手を決めるため、不許可理由を必ず確認する
次に行うべき最も重要な行動が、管轄の入管へ出向き、不許可となった具体的な理由を確認することです。理由が分からなければ、対策は立てられません。書類の不備なのか、活動内容の説明不足なのか。この理由の特定こそが、次のステップへの分かれ道を決めるのです。
ステップ3:未来を選択する(出国準備または再申請)
不許可の理由が改善困難な場合や、期間内に対応できない場合は、残念ながら与えられた期間内に出国準備を進めることになります。しかし、理由が書類の追加などで改善できるものであれば、諦めるのはまだ早いです。特に「31日間」の在留期間付与は、入管が「再申請の可能性あり」と判断しているサインとも解釈できます。この期間内に、専門家と相談しながら完璧な再申請を目指す道も残されています。
【まとめ】特例期間は、未来への「滑走路」です
特例期間は、在留資格の審査結果を待つ間、あなたが不法滞在になるのを防ぐ、国が定めた重要なセーフティーネットです。しかし、その本質は単なる待ち時間ではありません。起こりうるトラブルを予測し、正しく「準備」をすることで、この期間は次の未来へ向けた「滑走路」へと変わります。
特に、銀行への事前連絡や、申請中であることを証明する書類の携帯は、今日からできる最も有効な自己防衛策。万全の準備を整えることで、あなたは特例期間を安心して過ごし、落ち着いて次のステップへ進むことができます。
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行政書士法人35
代表行政書士 萩台 紘史
2021年4月 SANGO行政書士事務所を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
外国人の就労ビザ申請に専門特化した事務所として年間350件超の就労ビザ申請をサポート