飲食業で技術・人文知識・国際業務ビザを取得できる職種とは?
近年都心部では中華料理やインド料理等の他国籍料理を提供する飲食店以外に、居酒屋、ファミレス等でも外国籍従業員を必ず見かけるかと思います。彼らの多くは留学生のアルバイトが大半でしょう。飲食店の多くで正社員募集の求人を出しても応募が思ったよりもないというのが現状だそうです。そんな中、留学生アルバイトをそのまま正社員として雇い入れることはできないのか?といった相談は実務上でも非常に多くいただきます。今回は、一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」で外国人を雇用する場合のポイントについて解説していきます。
飲食業界人材不足の現状
近年、飲食業界は人手不足による倒産が急増しています。
2024年は過去最多件数となった前年を上回るペースで「人手不足倒産」が発生し、建設業、物流業に次いで飲食業の倒産も目立っています。ずっと以前から飲食業界は人手不足といわれていましたが、新型コロナウイルス禍で減員した従業員数を戻すことができないままそれ以前と同様またはそれ以上の需要に対応できない飲食店が増加しています。
留学生には人気の飲食業界なのに…
飲食業界に就職を希望する留学生は非常に多いです。日々実務をおこなっていても実感しています。それにも関わらずなぜ飲食業界の人材不足が解消されないのでしょうか?それは、飲食店と外国人本人が希望する職務内容と在留資格で認められている職務内容に関係があります。
飲食業での就労ビザ取得が難しいと言われる理由
まず、結論から申し上げますと飲食業界で就労ビザを取得するのは難しいわけではありませ。では、なぜそのように言われているのかというと、上記でも述べたように従事させたい職務内容と在留資格で認められている職務内容が一致しないためです。
まず、飲食店が従事させたい職務内容は、ホール・接客・調理などが大半であることが現状です。長年、慢性的な人材不足だといわれております。
次に、留学生の多くは内定後、就労するにあたって在留資格「技術・人文知識・国際業務」へビザの変更を行います。この、「技術・人文知識・国際業務」ではホール・接客・調理等の現業業務をおこなうことは認められておりません。
当該在留資格が想定している職種は、例えば、システムエンジニア、プログラマー、技術開発、経理、人事労務、コンサルティング、翻訳通訳、語学講師、企画事務、商品開発等が挙げられます。いわゆるホワイトカラー(事務職)と呼ばれる職種です。
留学生の多くは、在籍中の大学又は専門学校での学歴をもとに、日本語学校の生徒の場合には母国での学歴をもとに就労ビザへの変更申請をするのがほとんどです。そのため、上記で述べた従事させたい職務内容と在留資格で認められた職務内容の不一致が発生してしまうというわけです。
技術・人文知識・国際業務ビザで従事できる職種とは?
まずはじめに、「技術・人文知識・国際業務ビザ」とはどういったものなのか?上記で少し例を挙げましたが詳しくは以下よりご確認ください。
では、飲食業で従事可能な職種にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に例を挙げてみます。
店舗管理職
メニュー開発
企画事務職
翻訳通訳
経理・会計事務
ITエンジニア
海外取引業務
なお、接客、ホール、調理などの業務に従事する場合には特定技能ビザの検討をおすすめいたします。特定技能ビザでは、現業業務と判断されてします当該業務に従事することが可能ですので、本人、会社側にとってベストな方法を選択しましょう。
必要書類について
【在留資格認定証明書交付申請】
海外から招へいする場合に必要な書類です。
・顔写真 1葉
・返信用封筒 1通
※ 返信用の切手を貼ったもの
以下、所属機関のカテゴリーによって必要書類が異なります。
・四季報の写し
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書など
・専門学校卒の場合、専門士称号付与証など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・専門学校卒の場合、専門士称号付与証など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・労働条件通知書又は雇用契約書など
・卒業証明書及び成績証明書
・登記事項証明書
・直近年度の決算書
・会社概要のわかるもの
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3カ月分の給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書
・労働条件通知書又は雇用契約書など
・卒業証明書及び成績証明書
・登記事項証明書
・直近年度の決算書
・会社概要のわかるもの
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
【在留資格変更許可申請】
現在のビザを技術人文知識国際業務ビザへ変更する場合に必要な書類です。
・顔写真 1葉
・パスポート及び在留カード 提示
以下、所属機関のカテゴリーによって必要書類が異なります。
・四季報の写し
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書など
・専門学校卒の場合、専門士称号付与証など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・専門学校卒の場合、専門士称号付与証など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・労働条件通知書又は雇用契約書など
・卒業証明書及び成績証明書
・登記事項証明書
・直近年度の決算書
・会社概要のわかるもの
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3カ月分の給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書
・労働条件通知書又は雇用契約書など
・卒業証明書及び成績証明書
・登記事項証明書
・直近年度の決算書
・会社概要のわかるもの
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
【在留期間更新許可申請】
ビザの期限を延長する場合に必要な書類です。
・顔写真 1葉
・パスポート及び在留カード 提示
以下、所属機関のカテゴリーによって必要書類が異なります。
・四季報の写し
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書など
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の給与所得源泉徴収票の法定調書合計表
・前年度の課税証明書及び納税証明書
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
・前年度の課税証明書及び納税証明書
※ 派遣契約に基づく場合、労働条件通知書など
まとめ
近年、飲食業界では特定技能ビザでの雇用を進めている会社が増加しています。一方、ある程度の店舗数がある会社では、上記で挙げた技術・人文知識・国際業務ビザに該当する職種での雇用をしている会社もあります。間違った認識をもっているケースが多いのが飲食業界での就労ビザ取得の問題です。知識のないまま手続きを進めた場合には不許可となる可能性が高まります。いちど専門家への相談をオススメいたします。
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行政書士法人35
行政書士 萩台 紘史
2021年4月 個人事務所「SANGO行政書士事務所」を開業
2023年9月 法人化に伴い「行政書士法人35」を設立
年間350件超の就労ビザ申請を対応